貸金業界のこと

貸金業法 とは

2010年1月19日

貸金業法とは、貸金業の規制等に関する法律のことを言います。
交付が昭和58年(1983年)、施行日が同年11月1日です。

どういう規制なのかというと、1条に以下の記載があります。

「貸金業が我が国の経済社会において果たす役割にかんがみ、貸金業を営む者について登録制度を実施し、その事業に対し必要な規制を行うとともに、貸金業者の組織する団体を認可する制度を設け、その適正な活動を促進することにより、貸金業を営む者の業務の適正な運営を確保し、もつて資金需要者等の利益の保護を図るとともに、国民経済の適切な運営に資することを目的とする」(1条)

簡単にいうと、登録制にして、いくつか決まりを設けます。ということです。

もともとは、貸金業法ではなく、「貸金業の規制等に関する法律」となっていましたが、改正に伴い、2007年12月19日より正式な題名が「貸金業法」となりました。

事業登録や業務に関する諸規制、貸金業務取扱主任者の選任、業界団体としての「日本貸金業協会」の設立などが定められています。

これまでいくつか改正されました。主な内容は以下の通りです。

平成15年(2003年)

ヤミ金融といわれる悪質な違法業者を取り締まることを目的に、2003年8月1日、規制を強化した改正法(通称「ヤミ金融対策法」が成立、2004年1月1日に施行されました。

平成18年(2006年)

 

貸金業の適正化

  • 参入に必要な純資産額の引き上げ
  • 現行の個人300万・法人500万 ⇒ 施行後1年半以内に2000万円、
    上限金利引き下げ時に5000万円以上に順次引き上げ

  • 貸金業協会の自主規制機能の強化
  • 夜間に加え日中の執拗な取立て行為の規制
  • 借りての自殺による生命保険金による弁済禁止
  • 特定公正証書作成のための委任状取得の禁止
  • 利息制限法を超える契約についての特定公正証書作成委託の禁止
  • 過剰貸付の抑制(総量規制)
  • 指定信用情報機関制度の創設(本体施行から1年半以内に施行)
  • 1社で50万年、又は、他社とあわせて100万円を超える貸付を行う場合には、
    源泉徴収票の提出を受けることを義務付け、年収等3分の1を超える貸付を
    原則として禁止する(本体施行から2年半以内に施行)
  • 正当な理由なくして登録6ヶ月以内に事業を開始しなかったり、6ヶ月以上
    事業を休止した場合は、登録取り消しの対象となる。

グレーゾーン金利の廃止

・みなし弁済制度の禁止(本体施行から2年半以内に施行)
・利息制限法所定の制限利息(15%~20%)と出資法所定の上限金利
(29%)の間の金利での貸付けについては、行政処分の対象とする。

※みなし弁済とは
本来、利息制限法によると、年率15%~20%を超える利息は取ることができない、というのが原則です。しかしお金を貸す人が以下の要件を全て満たしている場合は、例外的に利息制限法を超過した利息を取ることも有効とみなされていました。これをみなし弁済といいます。

このみなし弁済が認められてしまうと、過払い金を返還してもらうことができません。
みなし弁済が認められるための要件としては、次の事項が挙げられ、業者がみなし弁済を主張するためには、この5つの要件すべてを満たしている必要があります。そして自ら満たしていることを立証する必要があり、このうちどれか一つでも欠くと成立しません。

  • 貸付をした者が登録を受けた貸金業業者であること。
  • 契約の際に貸金業規制法17条で定められた要件を充足する書面を借主に交付していること
  • 返済をする際その都度、貸金業規制法18条で定められた要件を充足する受取証書を直ちに交付していること。
  • 債務者が利息の支払を利息としての認識で支払ったこと。
  • 債務者が利息の支払を自己の意思に基づく任意の意思で支払ったこと。

とは言っても、上記の要件を満たしている業者はほとんどありませんし、裁判所もこの要件を満たしているかどうかについては非常に厳しい判断を下す傾向があります。そのため、よっぽどのことがない限り、みなし弁済が認められ、過払い金の返還請求に影響が出るということは考えにくいでしょう。

ヤミ金融対策の強化

・ヤミ金融に対する罰則最高刑を、懲役5年から懲役10年に強化

上記の通り、みなし弁済の廃止や総量規制の導入については本体施行後2年半以内に施行されるなどの例外が設けられ、全体として以下の5段階の施行となっています。

1.第1次施行(公布日より施行。2006年12月20日施行)

  • 附則66条のみ

2.第2次施行(公布日より1ヶ月経過した日から施行。2007年1月20日施行)

  • 改正法1条、6条関係

3.第3次施行(公布日より1年以内に施行。2007年12月19日施行)

  • 法律の名称変更「貸金業の規制等に関する法律」から「貸金業法」に。
  • 業者の登録要件強化
  • 行為規制強化
  • 監督庁の監督強化
  • 貸金業協会の取扱の変更(「社団法人全国貸金業協会連合会」の解散と内閣総理大臣の認可に基づく自主規制団体「日本貸金業協会」設立・移行)などが定められている。

4.第4次施行((第3次施行)より1年半以内に施行。2009年6月18日施行)

  • 業者の財産的基礎要件の引上げ
  • 貸金業務取扱主任者資格制度の創設
  • 現在も「貸金業務取扱主任者」の制度はある。
  • これは日本貸金業協会等の研修を受けて試験に合格した者であるが、国家資格ではない。
    改正後は、貸金業務取扱主任者が国家資格となる。指定信用情報機関制度の創設

5.第5次施行(本体施行(第3次施行)より2年半以内に施行(完全施行)。
実際の施行日は未確定。リミットは2010年(平成22年)6月19日)

  • 貸金業務取扱主任者の必置
  • 財産的基礎要件の再引上げ
  • 行為規制の強化
  • 過剰貸付規制の強化
  • みなし弁済制度廃止
  • 利息制限法改正
  • 出資法改正

なお、第5次施行と同時に、見直しをする旨の規定がおかれた。(附則67条)

では、貸金業改正の概要で、今回大幅に改正した貸金業法改正の概要について少しやさしく解説しています。

 

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